東京・埼玉・千葉・神奈川のピアノ調律、修理を行っております久保調律事務所です。
最近、初めてのお客様宅にお伺いしますと、「家のピアノの鍵盤が軽くて・・・」
と申される方がおります。
そして「もう少し重たくできないでしょうか?」と・・・
ちょっと鍵盤の重さや軽さについて触れさせていただきます。
まず、鍵盤についてですが、ピアノの鍵盤は歳月を経ながら経年変化で軽くなって
しまうことはないのですね。
ピアノメーカーの違いやあるいは同じ機種(同じ種類のピアノ)によって
鍵盤の重さや軽さは様々ですが、初めてピアノがわが家にきたその日から皆さんのピアノの鍵盤はほとんどが
長い歳月を経てピアノ内部機械のへたりや鍵盤の摩耗、あるいは湿気などによってだんだんと重たくなっていきます。
冒頭にお話ししましたお客さまはお子様が「ピアノ先生のお宅のグランドピアノの鍵盤は重たくて、自宅では上手く
弾けるのだけども、先生のピアノで弾くと自宅で弾いてるように上手くできない」とのことでした。
それで「先生のピアノ見たいに鍵盤を重たくできないですか?」と申されました。
お客様のピアノはアップライトピアノでした。
わたくしは「先生のピアノはだいぶ古いようですか?」とお聞きしました。
すると「今は先生のピアノはオーバーホールに出していて、代わりに電子ピアノでレッスンをしてます」ということでした。
私はピンッときました。
「先生のピアノが調整不良か古くて鍵盤が重たいのではないですか?」って申し上げました。
そして「先生のピアノの重たい鍵盤のすようにお客様のピアノも重たくするのは出来ない事もないですが、調子の良い
お客様のピアノの鍵盤を無理に重たくする作業になりますが、どうされますか?」と・・・
お客様は私の説明の結果、「今の状態でお願いします」となりました。
調律が終わって、弾いてみて・・「音がぬけてはっきり張りのある音になって鍵盤もこままのほうがいいですね」と感想を
いただきました。
後日、先生のピアノがオーバーホールから帰ってきました。
先生のピアノの鍵盤も軽く軽快なタッチになって・・・
お客様から「やっぱり鍵盤を重たくしなくて良かったです」と電話をいただきました。
一番大切なことは
①使用者本人が弾きやすい(無理して重たくする必要は不要・練習のために重たくされることもおすすめは控えたいと思います)
②ピアノの鍵盤の重たさ、あるいは軽さには若干の差はありますが、そのピアノに合った鍵盤の重たさや軽さが定まってピアノ本来の
良い音色が得られます。
③もしかすると何かの不良によって鍵盤が重たいことを見定めること。
以上のようなことを熟練された調律技術者は鍵盤を触った瞬間に感じます。
皆さんのお宅に調律にお伺いした際は調律師さんに調律だけでなく、音の事、鍵盤の事、他様々相談されてみてもよろしいかと思います。
そんな事・・・調律師とお客様の会話が皆様のピアノが年々、段々とより良いピアノになっていくと思います。